以前、こちらの記事で「図面では分かりにくい窓の高さ」についてご紹介しました。
上記の記事では最後に窓の種類やサイズの変更を検討していました。
こちらの検討内容について、
ヘーベルハウスの住環境シミュレーションを用いて結論を導き出しましたのでご紹介します。
前回のおさらい
本検討結果の詳細に入る前に、
改めて前提条件と提案、そのメリットとデメリットのおさらいをします。
前提条件 -どんな問題があったのか-
我が家で設置検討しているヘーベルハウス12高窓という商品は以下のラインナップがあります。
・引き違い窓 (窓高86cm)
・竪すべり出し窓 (窓高86cm or 110cm)
1階は引き違い窓と竪すべり出し窓の両方を設置する予定でしたが、
2階は偶然にも竪すべり出し窓しか設置予定がありませんでした。
その結果、
2階は大きい方のサイズである110cmの窓で統一出来ましたが、
1階は窓の高さを揃えるというセオリーに則り、引き違い窓に合わせて86cmで統一されていました。
僕からの提案
僕の提案は以下の2点です。
① 引き違い窓を全て竪すべり出し窓しへ変更する(主寝室は竪すべり出し窓を複数並べる)
② 全ての竪すべり出し窓の高さを86cm→110cmに変更する
続いて、
本提案にによるメリットとデメリットについて確認します。
こちらの記事で記載していますが、
一般的に引き違い窓よりも竪すべり出し窓の方が気密性や通風性に優れているとされています。
窓自体の金額はさほど変わりませんが、
引き違い窓に付随するシャッターも外すこととなるため、
本提案による変更で約12万円のコストカットが可能となります。
本提案では窓高は86cmから110cmと大きくなりますが、
引き違い窓から竪すべり出し窓への変更ということで、窓の幅が120cmから60cmへ半分のサイズになってしまいます。
開口部のサイズは変わらないので通風面においては差はありませんが、
外の明かりを取り入れるという観点においては大きく劣ります。
どの程度の明るさとなるのかシミュレーションしてみる
窓が小さくなることで外の明かりを取り入れにくくなることは間違いありません。
しかし、それが問題として顕在化するかどうかは別問題です。
本提案の対象となる部屋は、主寝室および子ども部屋です。
我が家の家作りコンセプトの根底には
「家族は基本的にLDKで生活するような家にしたい」というものがあります。
もちろん日中でも電気を付けないと生活できないようなお家は嫌ですが、
主寝室や子ども部屋は朝晩以外は基本使用しないことを考えれば
多少は暗くても問題ないと考えています。
(子どもが自室で勉強する際は昼間でもデスクの電気は付けるでしょうし)
これを踏まえて、
ヘーベルハウスの住環境シミュレーションで明るさシミュレーションを実施してもらいました。
コンピュータ上で採光・風通しのシミュレーションが可能なARIOSというシステムについては
↓ 以下の記事に記載していますのでよろしければご覧ください ↓
変更前後のシミュレーション結果
僕の提案前後の明るさシミュレーションの結果が以下です。
右側:竪すべり出し窓に統一して窓高110cmバージョン(主寝室のみ窓2つ)
主寝室について
主寝室は思ったよりも暗い結果となりました。
120cmの引き違い窓 → 60cmの竪すべり出し窓×2なのでサッシの幅は変わらない(むしろ窓高は伸びてるから総面積は増えてる)にも関わらず、ここまであからさまに違いが出てくるのは想定外でした。
おそらくサッシ自体の幅が変わらなくとも、
窓のガラス部分の幅はかなり小さくなるのだと思われます。
とはいえ、主寝室の主な利用目的は寝ることです。
部屋自体が非常に小さいため、書き物やパソコンの操作等もおそらくありません。
ちなみに主寝室の窓は西側の窓なので、我が家において最も西日の影響を受ける窓となります。
これは部屋の配置するうえで仕方が無かったのですが、
窓を小さくすれば、その分だけ西日の影響も下げることが出来るのでこれはこれでアリだと考えています。
子ども部屋について
シミュレーション上では、
全体的に明るさレベルを1段階落とすのみとなりました。
もちろん変更前よりは暗くなってしまいますが、
学習机を設置予定の場所に関してはギリギリ緑色を保てていることが分かります。
ただし、このシミュレーションには2つの大きな前提条件があります。
現在、我が家の東側は月極駐車場であるため、東側の日当たりは良好ですが、
何十年間も住んでいる間に住宅あるいはアパートが隣接して建設される可能性は十分に考えられます。
この場合、おそらく東面の窓による採光は壊滅的でしょう。
また、子ども部屋が個室として使用される頃には、
子ども部屋の間に可動家具で仕切りを設ける予定ですが、
このシミュレーションには可動家具の影響が考慮されていません。
おそらく可動家具が設置されることで北側の子ども部屋の明るさには大きな影響を与えるでしょう。
この辺りは土地の形や立地による制約であり、
残念ながら窓の種類や配置といった範疇を超えています。
(ある程度の工夫は可能ですが…)
これらを踏まえ、
この2つの条件が揃えば大きな窓(ここでは引き違い窓)を設置しても暗くなってしまう可能性が高いと考え、僕の提案通り竪すべり出し窓で進めることにしました。
ちなみに2階の明るさシミュレーションの結果は?
前回の明るさシミュレーション実施から間取りも大きく変わったので、
2階のシミュレーション結果も参考まで公開します。
リビングと和室、キッチンは非常に明るい空間とすることが出来ました。
ダイニング部分が少しくらいかもしれませんが、
家の中央部分に位置するため仕方が無いと諦めるしかないと考えています。
こうしてみると、
やはり日当たりという観点においては2階リビングは強いなぁと感じます。
我が家は狭小住宅という分類ではないとは思いますが、
「毎日、荷物を2階に持って上がらないといけない」というデメリットさえ我慢できれば、
個人的に2階リビングは非常にオススメできます。
書斎は窓を全く設置しなかったので日中でも真っ暗な空間となります。
ここではPCの使用がメインであり、
日中で太陽の光が入っていたとしても電気を付けたい場所なため、収納の使い易さも含めて窓はあえて設置しませんでした。
(換気扇は設置しています)
まとめ
1階に設置する窓の調整について我が家の事例をご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
注文住宅でお家作りをされる方の中で、
暗くて風通しの悪い家に住みたいと考えられる方はいないと思います。
しかし、気密断熱等の性能面や、開放感や雰囲気などの理屈では説明できない部分、最終的な価格等によって窓の種類や数を調整しなければならない局面は必ず存在します。
そのような場合は、
全体のお家作りコンセプトは持ったうえで、
個々の部屋やスペースの使い方をイメージしながら考えてみてはいかがでしょうか?
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